曲芸団のゆめ
ひとり芝居
歌手:浮森かや子
专辑:《ひとり芝居》


曲芸団のゆめ
収録:幼蚕文庫 - ひとり芝居

其処は妄想の曲芸団
優しい道化が呉だの
折り目だたけの切符
泣き笑い顔で 「おいで」と

暗い天井はびろうど
吊るされた軽銀の星
空中ブランコの役者が
派手な衣装で宙返り

世にも美しい雄叫びをきいた
氣高きライオン ひとめで虜に

群青と橙の舞台のうえで
たからかに哮る  わたしの英雄
あなたが此方をふり向いた時に
夢のなかに居るのだと思った

悲鳴あげる回転木馬
目に痛い色彩の洪水
誰もかたちを持たず
心地よい作り笑い

ライオンのしてくれる旅のお話
世界はそんなにも美しいのね

黄金のたてがみに額をうずめて
幸福と愛しさが満ちてく
あなたの眸に移る曲芸団の中に
わたしが居れば善いのに

「そんな曲芸団は何処にもないよ」と
深い霧のなか誰かに云われた

ねえ、きいて頂戴
本当のわたしは 暗い部屋で手遊びをしている
あなたに逢うことを夢みていたのよ
此処はわたしの妄想の曲芸団

気がつくと其処は冷めた暗い部屋
ラメの紙ふぶきさえ消えたけど
曲芸団で覚えた歌や踊りを
扉を開け披露してみせるの

あなたの見た美しい世界で

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