歌手:
鈴葉屋
专辑:
《幻燈》季節は冬
真綿のような雪がひとつ、ふたつ
日が落ちたばかりの
まだ仄かに青みがかった空から
舞い降りて来る
段々と髪に積もっていくそれを私は払おうともせずに
ただ歩いていた
地を擦るつま先はもう感覚を失われて
何を目指してもない 意思を持ってもない
ただのガラクタのような私
クリスマスに向けて準備に追われる街はとっても賑やかで
光があふれるその場所は今の私とはかけ離れていた
敷き詰められた石畳がすっかり雪で覆われる頃
私の足はある一本の道の前で止まった
なぜかわからない
でも立ち止まらなければならないような気がしたのだ
吸い寄せられたように その路地裏へと入っていく
背の高い街灯には明かりが灯っていたか
それはその場所を照らすのに 十分ではなかった 暗い道
積もった雪だけが妙に明るかった
「…」
真っ白い道に突然不似合いものが落ちた
「はね?」
闇のように漆黒な羽がひとつ、ふたつ
私の進む方向へと落ちて来る
うんうん
私を導いている
その先で私はあなたに出会う
それは星のない真っ暗な冬の夜半のことだった