歌手:
花たん
专辑:
《第一幕》ぜんぶ嘘だ。
これは悪夢だ。
私はうなされていて
私を好きなだれかが
そっと起こしてくれるんだ。
だいじょうぶ、って。
つらかったね、って。
がんばったね、って。
へいきだよ、って。
こわかったね、って。
よしよし
安心して
って。
——デザート・シアター より
どこにいればいいの
わたし
ここにいてはいけないだらけで
宙にぶらり吊られているよ
——光よ より
夕方、死人の行進が見えるようになった。
不気味な一群は、夕陽と闇夜の境界線上を、ユラユラとうつろな様子で歩いていた。
ときどき、元気に歩き出す死人がいた。
彼らは、大きな石の塔に激突したり、煙突から出る煙のニオイを嗅いだり、何かの声が聞こえたような、
そういった拍子に少し道から逸れて、しっかりと歩き出すのだった。
よく見ると虫や動物もいたけど、ほとんどは人間以上にうつろな様子だった。
わたしは何となく、幸せになるとか、キレイになるとか、そういうことがあの行進の向こうにある気がした。
誰からも祈られないわたしなら、せめて意識がハッキリとしている、今のうちに。
——朝さん夜さん より
むかし、一頭のオオカミが月明かりの都に現れ、人を喰い殺しました。
満月の夜には決まって、狂ったような咆哮が、都の隅々まで降り注ぎました。
それから、月夜の晩には都中の戸という戸、門という門が、固く閉ざされるようになりました。
オオカミの棲むような山や森が、都の周りにはありませんでした。
いつからか、人から姿を変えたオオカミ男が、
満月を機にどこかの家から飛び出すのだと噂されるようになりました。
疑われ、迫害に遭う者がそこら中に現れました。
特に日頃から嫌われていた者、弱い者などは、時に命を奪われるほど、迫害は苛烈になりました。
突如として、新月の夜から昼夜を問わず、オオカミが姿を現すようになりました。
そして油断していた都中の民を、おそろしい勢いで殺戮してまわりました。
まるで何か物でも捨てるような、冷徹さそのものを瞳に深く宿し、
はじめの頃にあった紅い憤怒の色は、跡形もなく消え果てていました。
——オオカミ男 より
ぼくは飛べる
ぼくを引きこんでくれる人が
いるからだ
ぼくの背中を押してくれる人が
いるからだ
ぼくを止める人が誰も
いないからだ
——紙人形 より