第四話『金の斧 銀の斧』
Come across~DEARS朗読物語~ Vol.7 イソップの童話
歌手:櫻井孝宏
专辑:《Come across~DEARS朗読物語~ Vol.7 イソップの童話》

金の斧 銀の斧
朗読 沢城みゆき
昔々あるところに
貧しくても真面目に生きる木こりさんと
美人だけど 病弱で いつも寝たきりの奥さんがいったのです
お前 大丈夫かい
ごめんなさい あなた いつも心配ばかりかけてしまって
いいんだよ それより おいらの方こそ お前に謝らなくちゃ
おいらにもっと稼ぎがあったら ちゃんと薬を買ってあげるのに
そんな あなたは今でも十分よくしてくれてるなぁ 私にはもったいないぐらい
お前 待ってろよ 今しっかり稼てくるからな
ええ 頑張ってくださいねぇ
任せとけ
そんな木こりさんは奥さんの薬代を稼ぐためにも
毎日朝から晩まで
一生懸命木を切り それを町へ売って 暮らしていました
しかし
はぁ 今日も一日よく働いたなぁ
さて 今日の稼ぎは と
はぁ 今日もこれだけかぁ
木を切って売るだけには稼ぎが足りず
木こりさんには満足に薬を買うだけの金がありませんでした
ごめん
きょうも薬を買ってこられなかったよ
でも ほら
果物を買ってきたんだ
お前果物を好きだっただろう
ええ ありがとうございます あなた
こんな木こりさんは木こり仲間で
とても正直もので有名でした
例えば 道端に落ちているお金を拾っても
自分のものにしませんし
質の良い木をはいている とても木の森があっても
内緒にせず 仲間に教えていました
そんだから 仲間からは心配されていたのです
「あの お主
あまり正直に生きていると
いつか悪者に騙されて大損してしまうぜ
もうちょっと欲張っても罰は当たらんよ」
そんな仲間の言葉も 木こりさんの耳には入りません
「人間 なんといっても 正直に生きるのが一番だよ」
そう言って 今日も木こりさんは日が暮れるまで
木を切ってました
そんなある日のことです
木こりさんはいつものように
長年愛用しているおんぼろの斧を持って
山に入りました
この日は いつものところより 山奥にある
泉のほとりの木を切ることにしました
さぁて 今日も頑張って切るかねぇ
せい のう
木こりさんは勢いよく木に斧を振るいました
その時です
ああああ しまった おいらの斧が
なんと 勢い余って 握り締めていた斧が
木こりさんの手からすると逃げて飛んでいてしまったではありませんか
更に 山の斜面が急で
斧はそのまま 転がっていてしまいました
おいいい おいらの斧 待っておくれよ
木こりさんは慌てて追いかけます
しかし ざぶ
なんと 木こりさんの斧はそばにあった泉に落ちてしまったのです
あっちゃ よりにもよって 泉に落ちるなんて
木こりさんは慌てて泉に駆け寄って中を覗いて見ましたが
もう斧はそこ深くまで沈んでしまった跡です
潜って拾い上げようにも 泉はとても深くて
そこは真っ黒だったのです
はぁ なんてことだろう 斧はあれしかないんだ
おいらには新しい斧を買うお金なんがないし
このままじゃ 仕事ができないよ
おいらはこれから 一体どうやって生活していけばいいんだ
木こりさんはこれからのことを思うと 嘆き哀しみ泣き出した
その時です
ぶくぶくぶく
泉の水面が波立ったかと思うと そこから眩い光が放たれました
な、なんだぁ そのひかりは ま、眩しい
すると 光の中から 高級な着物を身にまとった これは美しい女神様が現れたではありませんか
私は泉の女神です
木こりよ
あなたは先程から泣いているようですが どうがしたのですか
わぁぁ 泉から ひ、人が
泉から女神様が現れたことに大層驚いた木こりさんですが
勇気を出して 本当のことを言いました
実は おいらが大切にしていた斧が泉に落ちてしまって
それで泣いてしまった あれがないと木が切れなくて困っています
女神様は木こりさんを哀れに思い
泉のそれへ落ちた斧を取ってきてやることにしました
少しの間 そこで待っていてくださいね
あなたの斧を取ってきてあげましょう
そう言って 女神様は泉の中へ入ってきました
はぁっさっきのは一体なんだったんだ
それにしても きれ~いな女神様だったなぁ
そうして 木こりさんがしばらく待っていると
再び水面が波立ち
そこから 女神様が戻ってきました
木こりよ お待たせしましたね
さて あなたが落としたと言う斧はこれですか
そう言って 木こりさんに見せた斧はなんとピカピカと輝く
黄金の斧ではありませんか
ほぉ これまた きれ~いな斧だなぁ
けど おいらが落とした斧はそんなに美しい斧ではありません
もっと 普通の斧です
木こりさんは首を横に振って断りました
まあ これではありませんか ではまた探してくることにしましょう
そこで待っていてくださいね
女神様は再び泉に入りました
女神様が現れたと思ったら 今度は金の斧とは 今日はびっくりすることばっかりだ
それにしても 女神様が持ってきたってことは
誰かがあの金の斧を泉に落としたっていうことなんだろうか
あんな斧を持ってるなんて さぞ大金持ちの木こりなんだろうなぁ んんんんん
木こりさんがそんなことを考えていると
おとなくして泉の水面が波立ち 女神様の姿を現しました
あなたが落としたと言うのはこれですか
女神様が手にした斧は それはそれは上品な銀の斧でした
いやいやいや おいらが落とした斧はそんな立派な斧ではありません
木こりさんは再び首を横に振います
すると 女神様はまたしても 斧を探すために 泉に入りました
金の斧次が銀の斧が 一体この泉にはどれだけの斧が沈んでいるんだろう
おいらの斧は見つかるんだろうか はぁ 見つかなかったら おいらはどうしよう
しばらくして 再び女神様が姿を現しました
その手にしている斧は木こりさんにとって見覚えのあるもの
長年を使っていておんぼろだけど 愛着のある 鉄でできたものです
それです おいらが落とした斧はまさにそれです
木こりさんは女神様から鉄の斧を受け取ると 斧に抱きついて大喜びしました
そんな大喜びしている木こりさんを見て 女神様もにっこりと微笑んで嬉しそうにです
女神様 ありがとうございました では おいらはこれで失礼します
そう言って 木こりさんは立ち去ろうとしました
すると 女神様は木こりさんを呼び止めます
お待ちなさい あなたはとても正直で誠実な方ですね
ですから 褒美を取らせましょう
女神様は泉に手を入れると そこから金の斧と銀の斧を取り出しました
そして その輝く二本を木こりさんに手渡したのです
さぁ これを持ってお帰りなない
ええ で でも これで他に落としたものがいるんじゃん
いええ この金の斧と銀の斧はただいまあなたのものです
遠慮なく持ち帰てください
女神様は 前にもって上がってきた金の斧と銀の斧を木こりさんに授けて
泉の中へ帰ていきました
泉のお女神様 ありがとうございました
木こりさんは愛用の鉄の斧だけでなく 女神様からもらった金の斧と銀の斧を持ち
満面の笑みを浮かべて家路に着きました
やった これで嫁さんに薬を買ってやれるぞ
さてさて 山から下りる木こりさんを見て 仲間の木こりさんたちはとても驚きます
あの貧しい暮らしをしていた木こりさんが金に光輝く斧を持っているんですから
おい お前 お前みたいな貧乏人がどうしてこんな立派な斧を持っているんだよ
そう聞かれた木こりさんは山奥の泉であったことを
正直に話して聞かせました
はぁぁ そんなことがあったのか こいつはいいことを聞いたぞ
これを聞いた仲間の一人は欲深い男だったのです
よし 明日はいの一番で泉へ行って お宝を独り占めしてやるぞ
次の日の朝早く 男はいつも使っている鉄の斧を持って
大急ぎで山奥の泉へやってきました
そして すぐに わざと斧を泉へ落とします
うわぁ 斧を落としてしまったよ
男は嘘泣きして 女神様の出てくるのを今か今かと待っていました
すると 泉の水面を波立ち中から本当に女神様が現れたではありませんか
私は泉の女神です木こりよ
あなたは先程から泣いているようですが どうがしたのですか
うおぉ これは泉の女神様 実はわしの斧は泉に落ちてしまって
少しの間 そこで待っていてくださいね あなたの斧を取ってきてあげましょう
女神様は男を哀れに思い 泉のそこへ落ちた斧を取ってきてやることにしました
へへ これで 金の斧はわしのもんじゃん
一人ぼっちになった男がそわそわして待っていました
しばらくして 女神様が輝くものを持って泉から出てくるではありませんか
その手には神々しく光る金の斧を握られていました
木こりよ お待たせしましたねさて あなたが落としたと言う斧はこれですか
それこそ わしの落とした金の斧です ありがとうございます
男はそう言って女神様の持つ金の斧へ飛びつこうと思いましたが
その途端 女神様は斧を引っ込めてしまいました
なんという嘘つきものでしょう この斧はあなたのような嘘つきものに与えることはできません
女神様は怒って 泉のからに消えてゆきました
男は泉に向かって 出で来てくださいと強くおねがいしましたが
もう二度と女神様は泉から出てきてくれませんでした
こうして 嘘をついて金の斧を取ろうとした男は自らの斧も失って本当に泣きながら帰ていたのでした
一方 正直ものの木こりさんはと言うと 金の斧と銀の斧を町で売って
それで得たお金で 薬をたくさん買うことができました
奥さんに薬を飲ませてあげたので 今では元気に 木こりさんと仲良く健康に暮らしているそうですよ
お終い
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