歌手:
不可思議/wonderboy
专辑:
《さよなら、》僕が引っ越してきたのは偽物の街だった
偽物の駅に、偽物のコンビニ
偽物のスーパーに立ち寄り偽物の卵を買い込み
家に帰る途中のある店の扉を叩くのだ
偽物の看板、偽物のバーで
熱心にダーツを放つ男たちを尻目に
僕は気取ってこう言い放つのだった
「マスター、いつもの偽物をください」
そう言うとマスターは何も言わず微笑み
すべてをわかったかのようにシェイカーを手にする
偽物のグラスに偽物のリキュール
偽物の氷を浮かべるとさらに
さらさらと何か粉のようなものをふりかけ
そこでマスターが一言
「アゲハ蝶の鱗粉です、もちろん本物の偽物ですよ」ってね
いつからか僕はこの世界にいるのか?
少し前はずっと同じ場所にいたはずなのに
いつからか僕はこの世界にいるのだ?
少し前はずっとマシな場所にいたはずなのに
本当にこれが僕の望んでいたことなのか?
本当にこれが自分で選んだ道だと言うのか?
ボタンひとつで元に戻せるんじゃあないのか?
え?そこのお前なんとか言ったらどうなんだ
そんな彼を嘲笑うかのように一匹の蝶々が
ゆらゆらとはためいて帰り道を横切る
アゲハだ 確かこいつはどこかで見た覚えが
だが彼は十分に酔っていて何も思い出せない
暗い闇に羽ばたく黒い羽の鱗粉が青白く輝く
見惚れてはいけない
蝶々はいざなう
「Shall we dance?」と耳元で囁く
踊ってはいけない
気が付くと僕は君の空洞の中にいた
ただの空洞じゃない 君の空洞の中だ
僕はもはや何もかもを思い出してしまった
この空洞は僕が空けたものだ
そこにはテレビが一つ置いてあった
外では雨が降っているようだった
僕はそのテレビの前に一人立ち尽くしていたんだ
目を逸らそうとしたがそれはできなかった
その画面には君と僕の思い出が映し出されていた
何度も何度も手をつないで二人で帰るシーンばかりが繰り返されていた
外では雨が降っているようだった
こんなにも胸が苦しいということは
あなたを確かに愛していた証拠だ
こんなにも胸が苦しいのだから
あなたを確かに愛していたのだ
いつからか僕はこの世界にいるのか?
少し前はずっとマシな場所にいたはずなのに
いつからか僕はこの世界にいるのだ?
少し前はずっとマシな場所にいたはずなのに
本当にこれが僕の望んでいたことなのか?
本当にこれが自分で選んだ道だと言うのか?
ボタンひとつで元に戻せるんじゃあないのか?
え?そこのお前なんとか言ったらどうなんだ
帰り道はいくつかの私道によって作られていた
もう二度と同じ風景など見たくない
そう言って彼はまだ音の鳴る踏切をくぐったのだった