サテライトに祈りを あの塔から飛び降りたかわいそうな生きものは 私と同じ名前をしていたらしい 街を覆う羊毛が溶けるまで 無為に頷くだえの時間が過ぎてゆく 否定と肯定を交互に咀嚼するだけで 真実にはたどりつけない 人間の真似をした魚の真似を あなたが嫌うことも知っていて 誰からも理解されないまま そっといなくなってしまったとき たぶん私は幸せなんだと思う 二人の半導体を手放して 照明を消した 切り揃えた眩しい殺意 死にたがりの私はあなたに笑って欲しかった それだけだ 私は馬鹿だ あなたが泣いているのがこんなにも嬉しいなんて 本当に馬鹿だ 故意に溺れた冷たい種は 落ちながら祈る 今日は人工衛星が降る夜 かわいいあなたの願いがどうか叶いますように それだけだ それだけなんだ