神かくし 作词 : パイン 作曲 : ZUN 深く蒼き森の中 分け入る士ひとり 遠くより幽かなる笛の音聴こゆ 囲め囲め好いたらしい男 久しぶりじゃよの 放せ放せ妾の獲物じゃ へのこまではやれぬ 女孺の白くなよやかな 手に牽かれて 行く路はあれども かへる路などは無くて なまめくあやかし達に 現の刻も忘るる わらい声高らかに楽の音も響く きよらなその面差しに 酒も干さず夢心地 御簾より伸びる手に この手委ねよう 啜れ啜れやわらかな妾の 唇甘かろう 剥がせ剥がせ衣も生皮も 臓腑もねぶろう たゆたう藻の糸で 絡めとらるるままに 泡沫の間に間に ひねもす身横たえて いはけなきその姿に 万のことも忘るる 闇の中招ぶ声に心は迷う 高く鼓の音おぼえ 現に戻りてみれば 首すじを這うものは紅焔の舌 苦界の奥底なれば 痛みもこれまた甘露 悶えるこの身に あくる日など来ず 優しきまやかしの手に ゆるりといま抱かれて 世の終に見るものは紅の霧