すきま 隙間にのがれた 斜陽の緋が あたしのまぶたをみつけると 容赦なくもぐりこんで 「こわいのよ、棕櫚の黄になるのが」 「タスケテッ!」と言い残して消えた おくちのほうへ 奥地のほうへ 常緑性のその葉は刃か? 超強力性の皮膜があるのか? 葉緑体の避難はしたのか? 夢中力時代の記録はないのか? 隙間にのがれた 斜陽の緋が あたしのまぶたをみつけると 容赦なくもぐりこんで 「こわいのよ、棕櫚の黄になるのが」 「タスケテッ!」と言い残して消えた おくちのほうへ 奥地のほうへ 朱蝋の秘を片手に先生が 右の腕に箇条書きで質問を書き出した なみだ越しに見えるまぶたの縁  読み上げた文字がこぼれて逃げた