Karma 作曲 : HIR 编曲:HIR 「薄汚(うすよご)れたこの世界(せかい)を両(りょう)の眼(め)で捉(とら)えることが耐(た)えられないから、僕(ぼく)はこの手(て)で右目(みぎめ)を抉(えぐ)った。 けれど、何(なに)も変(か)わらない。 世界(せかい)は緩(ゆる)やかに壊(こわ)れていくし、七色(なないろ)にみえていた硝子(がらす)細工(さいく)は輝(かがや)きを失(うしな)った。 ラフィルに出会(であ)ったのは、そんなくすんだ日々(ひび)の中(なか)。 偶然(ぐうぜん)という名(な)の必然(ひつぜん)。多分(たぶん)、僕(ぼく)らは魂(たましい)の同(おな)じ部分(ぶぶん)に傷(きず)を負(お)っている」 瞼(まぶた)を閉(と)じていても 視力(しりょく)などなくとも 飛(と)び込(こ)んでくる程(ほど)の 眩(まばゆ)い光(ひかり)があることを 僕(ぼく)はずっと知(し)らずに、生(い)きてきたのだろう そのか細(ほそ)い光(ひかり)は 触(さわ)ると溶(と)けてしまいそうで…… 最初(さいしょ)に映(うつ)したのは 一片(ひとひら)の言(こと)の葉(は) 立(だ)ち尽(つ)くす僕(ぼく)は ただ頷(うなず)き笑(わら)った 密(ひそ)かに交(か)わしたちいさな約束(やくそく) その歌声(うたごえ)をどこまでも響(ひび)かせる ラフィルの紡(つむ)ぐ 透明(とうめい)な旋律(せんりつ) 閉(と)ざされたこの場所(ばしょ)から 遥(はる)か彼方(かなた)へ 「この世界(せかい)でだった一人(ひとり)しかいない天使(てんし)の末裔(まつえい)、ラフィル。 僕(ぼく)はその少女(しょうじょ)の唯一(ゆいいつ)の従者(じゅうしゃ)にして共犯者(きょうはんしゃ)であることを許(ゆる)された存在(そんざい)。 彼女(かのじょ)の歌(うた)う歌(うた)の本当(ほんとう)の意味(いみ)を知(し)っていたてなお、ゼロに乗(の)せて世界(せかい)に届(とど)けている。 けれどこれだけ傍(そば)にいても、ラフィルの笑顔(えがお)だけは一度(いちど)も見(み)たことがなかった。 少女(しょうじょ)は鳥篭(とりかご)の中(なか)で、ただ歌(うた)い続(つづ)ける」 蒼夜(よる)が来(く)るのに怯(おび)え 小(ちい)さく震(ふる)えてる 篭(かご)の中(なか)囚(とら)われた 少女(しょうじょ)は人(ひと)を恐(おそ)れていた その背(せ)に翼(つばさ)はなく、瞳(ひとみ)は儚(はかな)く 白(しろ)く細(ほそ)い光(ひかり)は いつしか消(き)えてしまいそうで…… 最後(さいご)に語(かた)ったのは 終(お)わりへの方策(ほうさく) 聞(き)き終(お)えたキミは 唯小(ただちい)さく笑(わら)った 僕(ぼく)に向(む)けられた、はじめての微笑(びしょう) その歌声(うたごえ)をどこまでも響(ひび)かせる ラフィルの紡(つむ)ぐ 透明(とうめい)な旋律(せんりつ) 閉(と)ざされたこの場所(ばしょ)から 遥(はる)か彼方(かなた)へ その歌声(うたごえ)は心(こころ)へと溶(と)けてゆく 紛(まご)うことなき 天上(てんじょう)の言語(ことば)で 灰暗(ほのぐら)い幻想(げんそう)から 空(そら)へ誘(いざな)う 「天使(てんし)の歌声(うたごえ)を、最(もっと)も深(ふか)いところに届(とど)かせるための手段(しゅだん)。 少年(しょうねん)は、その方法(ほうほう)をラフィルにそっと打(う)ち明(あ)けていた」 「今日(きょう)という日(ひ)が、僕(ぼく)らにとっての記念日(きねんび)になるんだ」 聞(き)こえるかい、ラフィル。君(きみ)の歌(うた)を待(ま)ち望(のぞ)んでいる貴族(きぞく)達(たち)がお集(あつ)まりだよ。 さあ、はじめよう。そして、終(お)わらせてしもおう…… 「静寂(せいじゃく)の中(なか)、ステージの幕(まく)はあがる。 少年(しょうねん)はそれを見(み)て、どこか悲(かな)しげに微笑(ほほえ)んだ」 「僕(ぼく)は嘘(うそ)つきなんだ。 世界(せかい)に存在(そんざい)する全(すべ)ての物語(ものがたり)が嘘(うそ)であるようにね」