萼 小林未郁-萼 春風生温い まとわりつく花びらは いつかの涙のように散りゆく 桜の下に埋められるなら あなたへの思いごと連れてゆくわ 押し込められた土の中から 思い出に根を張れば いつまでも側にいられる 蕾から血を垂らして 狂い咲け短い時を憂えて 川の流れに魂落として 欄干に寄りかかる枝の先を いつかあなたに折られるでしょう 誰よりも美しく咲き誇る 愛を怖れて 桜の下に埋められたまま 暁の眠りへと堕ちてゆくわ 春が来る度思い出すでしょう 誰よりも潔く散る 花びらに襲われて 夜風冷たい